🌿 お盆のお墓参りと、瀬戸内の島で過ごした父との思い出

お盆が近づくと、どこか空気がゆっくりと流れ始めるように感じます。普段は慌ただしく過ぎていく日常もこの時期だけは少し立ち止まり、ご先祖さまや家族のことを思い返す時間が生まれます。

日本では、8月13日~16日がお盆とされ、特に13日の「迎え盆」はご先祖様をお迎えする最も丁寧な日とされています。地域によって風習は様々で14日・15日は「留守参り」と呼ばれることもあり、16日の「送り盆」には再びお墓へ向かう地域もあります。
お盆はただの行事ではなく、”家族の記憶に触れる季節”なのだと、年を重ねるほど感じます。

■ お盆は「帰る場所」を思い出す時間

おぼんになると、実家に帰省し兄弟や従兄弟・従姉妹と集まり、昔の話をしたり、子供の頃の遊びを思い出したり ー そんな懐かしい時間を過ごした方も多いのではないでしょうか。
私にも、忘れられないお盆の記憶があります。

■ 父の実家は瀬戸内海の小さな離島

父は瀬戸内海に浮かぶ小さな島で生まれ育ちました。海に囲まれた穏やかな場所で、島の人たちは皆顔見知り。潮風の匂いと、ゆっくり流れる時間が印象的な場所です。
私も何度か父の実家を訪れたことがあります。
島に着くと、まず聞こえてくるのは波の音。車が走ってなく狭い通りを歩くと小さな商店があり、都会の喧騒から抜け出すにはぴったりの場所です。

■ 校庭で踊った盆踊り、海で遊んだ夏

昼間は海水浴。瀬戸内海の海は穏やかで透明度が高く、足元まで光届くような優しい海でした。
父が通っていた小学校の校庭では盆踊りが開かれていて、夜になると提灯の灯がぽつぽつと揺れて島の人たちが集まって太鼓の音に合わせて踊り始めます。子供だった私は、その輪に混ざって見よう見まねで踊った記憶があります。
「お父さんはここで暮らしていたんだなぁ、でも離れ小島だから生活が不便だよね」としみじみ感じながら島の風景を眺めていました。

■ 父が亡くなって17年。お墓は納骨堂に

父が亡くなってから、もう17年が経ちます。時の流れは本当に早いものです。
父のお墓は納骨堂にあります。島のお墓でなく今の生活圏に近い場所にあるため、お盆にはその納骨堂へお参りに行きます。
納骨堂は静かで整然としていて、季節や天候に左右されずにゆっくりと手を合わせられる場所です。
手を合わせると、島で過ごしたあの夏の日の記憶がふっと蘇ります。盆踊りの太鼓の音、海の煌めき、父の笑顔 ー どれも私の中で大切にしまわれている宝物のような記憶です。

■ お盆は「思い出が帰って来る」季節

お盆のお墓参りは、ご先祖を迎えるための行事でありながら、同時に自分自身の記憶と向き合う時間でもあります。
父がいた頃の夏。島で過ごした時間。家族の声、風景、潮の匂い ー それらがそっと帰ってきて、心の中に座ってくれるような感覚。
お盆は、「大切な人を思い出すための季節」なのかもしれません。